野球人口の復活はなるか (2) ~野球人気は少年野球の増加から~
日本と世界の少年野球の比較
日本
- 中学生の軟式野球の競技人口が約16万人であるのに対し、硬式野球の人口はたったの約5万人しかいない。これは、軟式野球の普及から、少年の硬式野球人口が少なくなったといわれいます。
- 日本の少年野球のチームの多くは勝利至上主義。
アメリカ
- メジャーリーガーの約7割がポニーリーグ(中学生)出身。
- アメリカでは、中学生の野球団体の最大組織がポニー(7割)。
- 小学生の野球団体では、最大組織はリトルリーグ(6割)で、次がPONYの組織下にあるブロンコ(3割)。アメリカや他国では少年野球=硬式野球です。
- アメリカやドミニカなどでは、全員出場のルールがあります。
- また、子供の育成が第一義であり、試合に勝つことは第二義です。
- 特にドミニカでは、将来メジャーリーガーとして活躍できるために、ケガをせず、体を大きくしながら、どう育てていくかを重視しています。
日本における少年硬式野球の現状は?
まず、日本の野球界の構造がどのようになっているかご覧ください。
以下が日本においてプロ野球を頂点とするアマチュア野球の構図です。
現在の日本において、少年硬式野球は上図のように5団体で構成されていますが、現状はどのようなのでしょうか。
- 「チームが成り立たない」、「解散の危機」という悲鳴が上がる地域が増えてきています。近年、少年硬式野球の人口が減ってきており、他地区との合同チームが増加しています。 例えば、ボーイズリーグでは小学生の減少が激しく、全国で小学生チームの廃止、休止が相次いでいます。
- リトル(4~12歳)、リトルシニア(中学生)、ボーイズ(小中学生)、ヤング(小中学生)、ポニー(中学生)の5リーグを合わせても、小中学校のチーム数は2,300程度です。また、加盟選手数は約6~7万人です。
- 小中学生の硬式野球は、時間的負担が大きく、趣味や能力の多様化を求めている現在では敷居が高くなってきています。
- 大学や社会人、プロ野球で活躍した硬式野球のOBたちが、少年野球の場に戻って指導することで伝統や強みが継承されてきましたが、今はそれが薄れてきています。
- 何の利害関係もない親たちが組織運営を行っていて、その善意に頼っているため、組織としては軟弱です。
- アスリートを育てるための各専門家がいないため、しっかりとコーチングできていないところが多いようです。
- 硬式球を使用できるグラウンド(場所)が少なくなってきており、練習場所の確保が大変です。
このような状況において、少年硬式野球は「淘汰の時代」に入ったと考えられています。
「行きすぎた勝利至上主義」や「健康の軽視」など、伝統という名のもとに、いまだ古い体質のチームも多く、これが、日本の野球界を大きく改善できていない理由なのかもしれません。
しかし、一方で、ボーイズリーグなどには多様なチームも存在し、ユニークな活動で選手数を増やしているところも増えてきています。
例えば、以下の2チームなどはそのような活動で注目されています。
「子どもを野球好きにする」、「高校以降で活躍できる選手を育成する」ことを目的に、子ども本位の指導で注目される堺ビッグボーイズ(https://bb-future.net)
「野球遊び」を取り入れて小学生の加入者を増やしている前橋中央ボーイズ
小学生(https://www.npo-maebashi-chuo-bbc.org/kids-elementary-school-baseball/)
中学生(https://www.npo-maebashi-chuo-bbc.org/junior-high-school-baseball/)
2021年現在、新型コロナの影響で、野球の練習や試合にも多くの制限がかかってきました。そのため、目まぐるしく変化する環境に、より迅速に、かつ的確に対応していかなればなりません。
今後は、はっきりとした方針をもって、競技する選手ファーストで、かつチームをしっかりと組織的に運営できるチームのみが生き残っていくことでしょう。
日本における「リトルリーグ」が野球を復活させる?
リトルリーグも他の硬式野球チームと同様に、大きな転換期を迎えています。
現状のリトルリーグ数は183で、チーム数が674チームです。(2020年3月)
しかし、実は以下の統計を見てもらうと面白い結果が分かります。
2020年ドラフトからの統計
まず、前提として、上記の表のように、プロ野球12球団で支配下指名74名、育成49名の計123名が指名を受けました。(2020年ドラフト会議)
中学時代の硬式野球出身者はそのうち80名、軟式野球出身者は43名です。
ドラフト会議にかかった選手の人数自体は硬式野球出身者が軟式野球出身者の2倍ほどでしかありませんが、母数、つまり選手数の比が軟式野球の方が3倍以上も多く、結果として、硬式野球出身者がプロになれる確率はというと、軟式野球出身者の約5倍となっています。
このうち、中学時代にリトルシニアのチームに所属していたのは、33名です。
この数字は、リトルリーグの団員数20552人に対して、ドラフト会議で選ばれた選手が約0.16%であり、ボーイズが0.17%であるため、ほぼ同じ確率となっています。
それでは、リトル出身者でプロ野球選手はというと、誰がいるのでしょうか?
https://jllba.com/about/association/pro/
こちらに挙げられていますように誰もが知っている有名な選手が沢山います。
シカゴ・ホワイトソックスとフィラデルフィア・フィリーズでワールドシリーズ優勝を2度経験し、ロッテ・マーリンズの監督である井口資仁さん。
ロサンゼルス・ドジャースでクローザーとして活躍し、NPB/MLBで通算100勝100セーブを達成した斎藤隆さん。
甲子園大会の春・夏優勝し、プロでは沢村賞にゴールデングラブ賞7回受賞、日本シリーズでも優勝し、WBCではエースとして2度の世界一、ボストン・レッドソックスではワールドシリーズで優勝するなど平成の怪物と呼ばれた松坂大輔さん。
シアトル・マリナーズでノーヒットノーランを達成した岩隈久志さん。
現在の日本代表、不動の4番である鈴木誠也選手。
日本プロ野球史上、唯一のトリプルスリー複数回達成者(現在3回)の山田哲人選手。
2012年のリトルリーグ世界選手権にて優勝し、史上最多の高校通算111本塁打を記録した清宮幸太郎選手。
不思議なもので、リトルリーグ出身者にはメジャーリーガーが多いのも特徴です。
これは、リトル時代から世界大会を意識し、世界一を目指して切磋琢磨してきた選手が多いからなのかもしれません。
つまり、野球人口の復活のカギは「リトルリーグ」にあるとも言えます。
メジャー(MLB)に、もっともっと多くの選手を輩出し、そして世界の舞台で活躍してくれることで、子供たちの野球への知名度が増し、プロ野球選手へのあこがれが生まれてくるのです。
そして何より、元リトルリーガーで、世界が注目するスーパーヒーローがいます。
そう、ロサンゼルス・エンゼルスで今を時めく、世界が認めた二刀流プレーヤー、大谷翔平選手です。
今後、さらに大谷翔平選手にあこがれ、野球を始める子供たちが増えることを願っています。
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