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野球人口の復活はなるか(1) 野球の競技人口と他のスポーツ

サッカーのJリーグが発足された約20年前から、急激にサッカー人気が高まり、野球よりもサッカー好きの少年少女たちが急増してきました。

一方で、現在の小中学生の二世代前までは、野球は日本の国技とも言われ、多くの子供たちがプロ野球選手になることを夢見ていたのです。

野球が人気の影を落としてきた理由は様々だと思われます。

サッカーを中心に、バスケットボール、ラグビーなど新しく注目を集めるスポーツが増えてきたことも大きな原因のひとつでしょうし、野球に関して言えば、競技に必要な人数と、プレーできる環境が少なくなってきた点、さらに、グローブやバットなど複数の道具が必要で、気軽さに欠ける点も影響していると思われます。

肌感覚としては子供たちの野球熱は、年々冷めてきていると感じるかもしれませんが、実際には野球の競技人口の増減はどうなってきているのでしょうか?

また、今後、野球人気が復活し、競技人口も増える可能性はあるのでしょうか?

野球人口は減少?

以下は、野球の競技人口の年齢層別、10年ほどの推移を表しています。

小学生:(約30%減)2007年 約17万人 → 2017年 約12万人(スポーツ少年団に所属する小学生の団員数)
中学生:(約43%減)2007年 約30万人 → 2018年 約17万人(軟式野球部員数)
高校生:(約18%減)2010年 約17万人 → 2019年 約14万人(日本高野連)
大学生:(約45%増加)2007年 約2万人 → 2018年 約2.9万人 (全日本大学野球連盟)
社会人:競技人口の減少が最も深刻で社会人の野球部廃部企業が増加。

この数字を見ていただくと分かるように、

 小学生の野球人口の減少だけなく、今までは中学生から野球を始める子供たちが多かった(17万人から30万人)のに対し、最近はその割合が減ってきている(12万人から17万人)。

 反面、中学生まで野球をやっていて、高校生でやめてしまう子供たちが減ってきている

  13万人減少(約43%減)から3万人減少(約18%減)へ

 大学生の野球人口はむしろ増えている2万人から2.9万人、約45%増)

 社会人で野球を続けたくても、企業の野球部が次々と廃部となり、受け入れ先が無くなってきている。

このような、野球人口の減少の波は、地上波でのプロ野球中継の激減や、野球ができる場所(公園など)の減少、格差社会が進行する中での親の負担の増加、ルールや道具購入などによる競技に対する障壁の高さ、そして、球界の古い体質(イメージの悪さ)などが原因だと考えられます。

これらの原因をひとつひとつ改善していくことこそ、野球人口の復活には必要ですが、大局を見ると、根本的には、「幼少期から子供たちにどれだけ野球に興味をもってもらえるか」が非常に重要で、社会人でも続けていける、つまり「プロ野球選手になるという夢」への可能性を少しでも長く持ち続けることができる環境こそが重要だと思われます。

現在はその仕組みづくりとサポート体制を作るべく、地方自治体との協力から、独立リーグの発足や運営に力を入れてきています。

野球の競技人口は他のスポーツに比べてどうなのか?

まずは世界において、各スポーツの競技人口を見てみましょう。

世界の競技人口の上位ベスト5

1位 「バレーボール」   約5億人
2位 「バスケットボール」 約4.5億人
3位 「卓球」       約3億人
第4位 「クリケット」    約3億人
5位 「サッカー」     約2.6億人

野球の競技人口はというと、約3,000万人しかいません。

これは、世界で第8位の数字で、第6位「テニス」の約1億人、第7位「ゴルフ」の約7,000万人に続いています。

野球の人口が多い国は、米国、日本、キューバ、ドミニカで、韓国や台湾にもプロ野球のリーグがあり、人気があります。

それでは、日本における野球人気はどうかというと、他のスポーツと比較すると、競技人口(2021年現在)は以下のとおりになっています。

野球                   814万人
サッカー             677万人
バレーボール       514万人
バスケットボール 486万人

このように、日本における野球の競技人口はサッカーよりも多いのですが、例えば中学生の競技人口をみると、野球は2007年に約30万人いた人口が2018年には約17万人に激減しているのに対し、サッカーは2007年に約22.5万人だった人口が2016年には22.8万人と増加しているのです。

つまり、このままの状況だとあっという間に野球人口はサッカー人口に追い抜かれてしまうでしょう。

そこで、野球が他のスポーツに対抗するためにはどうすればいいのでしょうか?

野球ができる(観戦できる)環境を増やす工夫
親の負担を減らす仕組みづくり(金銭的、時間的に)
野球界の「旧体質」を改善 (海外から良いシステムや指導法を取り入れるなど)
⇒ プレイヤー第一主義(自らが楽しみ、自己研鑽したいと思える環境)

このような改善努力が必要となってくるでしょう。

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